J_Uの日記

芸術とその価値観などについてです。

権威の強力さ、恐ろしさ

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身の毛のよだつ、おそろしいお話を今からします。

 

 

ミルグラムという心理学者が実際に行った実験があります。

 

 

あなたが、地方紙をパラパラめくっているとして、

 

近くの大学の心理学研究室で、”記憶の実験”への参加者(被験者)

 

を募集している広告が目にとまります。

 

おもしろそうなので、参加することに。

 

 

研究者は、こう説明しました。

 

”この実験は罰が学習と記憶に及ぼす影響を明らかにするために行います。

参加者の1人には、対になった単語で構成された長いリストを暗唱できるまで

覚えてもらいます。

この人は<学習者>と呼ばれます。

もう1人は<教師>と呼ばれ、<学習者>の記憶をテストし、

<学習者>が間違えたときに、罰として、電気ショックを与えます。

間違えたたびに、それをどんどん強くしていきます。”

 

 

あなたはちょっと不安になります。

もう1人とくじを引き、あなたが<学習者>を担当することになり、

不安がさらに高まります。

 

予想外ですが、あなたはこう思います。

”やめるのはいつでもできる。電気ショックがどれほど強いかもわからないし。”

 

研究者は

”痛みは感じますが、跡が残るほどではありません”

と説明します。

 

<教師>は問題をインターホンを通じて、あなたに問題を出します。

あなたが間違えるたびに15ボルトずつ電力が上がります。

 

はじめのうち、ショックは不快ですが、耐えられないほどではありません。

 

しかし、間違えるたび、電圧の上昇で、テストに集中できません。

 

電圧が75ボルト、90、105まで達し、痛みのために思わず声が出ます。

 

120ボルトを受けたとき、あなたは、

 

”冗談抜きでキツイ!”と言います。

 

150ボルトのショックを受け、あなたはインターホンに向かって、

 

”もうたくさんだ!ここから出してくれ!お願いだ!”と

 

研究者と<教師>に言います。

 

しかし、<教師>は淡々と問題を出します。

 

解放してくれると期待していたあなたは驚き、困惑し、もぞもぞと答えます。

 

しかし、これも間違いで、165ボルトの電力を浴びます。

 

あなたは、実験を中止して、部屋から出してくれるよう<教師>に叫びます。

 

しかし、彼は問題を出すだけです。

 

怒りを込めた解答も間違いで、切り裂くような痛みのショックが与えられます。

 

もはや、ショックは非常に強く、

のたうち回り、壁を蹴り、解放してくれと懇願します。

 

しかし、テストはつづき、195ボルト、210、225、240、255、270…300ボルト。

 

あなたは、もう正しく解答するのは無理だと判断し、沈黙します。

 

しかし、それも間違いとみなされ、もう一段階強いショックが与えられます。

 

もう気絶しそうなくらいで、叫ぶことも、もがくこともできません。

 

なにも反応しなければ、実験をやめるだろうと思います。

続ける理由がないのだから。

 

しかし、状況は変わりません。

 

<教師>はさらに出題し、電圧はさらにあがり、400ボルトを超えていきます。

 

こいつはどんな人間なんだ。

なぜ助けてくれないのだろう。

なぜ、実験をやめない?

 

 

 

実はこれ、<学習者>は研究者のサクラの役者で、

実際は電流など、流れていませんでした。

ショックを受けている演技をしているだけです。

 

ミルグラムの真の目的は、

 

”苦痛を与えるように指示すると

普通の人はどの程度の苦痛まで与えようとするか?”

 

の解明でした。

 

なんと、約2/3の被験者は、<学習者>の懇願に一切耳を貸さず、ショックを与え続けたのです。

 

被験者は、特別サディストなわけでも、精神的異常者でも、脳障害なわけでもありません。

 

いたって普通の人と判断されています。

 

男性、女性でも差はありませんでした。

 

 

 

なぜこんなひどいことをできたのか?

 

 

 

この実験にはさらにウラがあります。

 

<教師>の被験者も実は、実験の中止を懇願していたのです。

 

しかし、研究者の指示により、続行を選択していました。

 

 

ミルグラム”権威への服従という解釈を支持する、一層強力な証拠を提出しました。

 

さらに強いショックをあたえる指示を出したのが、仲間の参加者だけだった場合

 

全員がそれを拒否しました。

 

しかし、研究者が指示した場合、これに従います。

 

さらに、研究者が、椅子に縛り付けられ、

 

仲間の参加者が、<教師>に実験の続行を指示。

 

すると、電気ショック・レバーに手を触れようとするものは誰一人としていませんでした。

 

 

 

医師とは、権威の強大さを示すよい例です。

 

ある実験者が、医師を装い、

 

看護師にある患者に薬を投与してくれと電話で伝えます。

 

この指示には、4つも疑わしい要素がありました。

 

まず、

 

1.医師は絶対に、電話でそのような指示をしないということ。

 

2.その薬自体、認可されていない。

 

3.処方された服用量は危険なほど、多い。

 

4.看護師は電話の相手と会ったことも、話したことも、病院で見かけたこともない。

 

 

なんと、それにもかかわらず、

 

95%の看護師が、その指示に従ったのです。

 

今までの豊富な医学訓練、知識、すべてを切り捨て、

 

 医師 という権威にただただ従った。

 

自動的に服従してしまうのです。

 

 

これらはわれわれ人間が、人間を形成している真実であり、

 

強みでもあるし、弱みでもあります。

 

肩書、権力、地位、名誉

 

名前がどうの、

 

あの有名な雑誌に載った、

 

テレビに出た云々。

 

みんなが言っているから、ただそれだけの理由で、

 

人は本質を見ず、考えることを拒否し、

 

それにただ従うだけの犬に成り下がります。

 

 

何が、正しく、何が、間違っているのか。

 

判断するのも、行動するのも、責任は全て自分にあります。

 

それを常日頃、胸にとめて、生きていかなくてはいけません。